楽しく走ってステップアップ講座 女性ランナーが健康のために知っておくべきこと
憧れのトップランナーの無駄のない引き締まった身体と脚。それに比べて・・・。
減量を決意して走り始めた人、十分に細いのに、まだまだ体重を気にするベテラン。
ランナーにとって体重は、いつまでたっても気になる存在のようです。かく言う僕も同じです。僕の減量体験については、以前のコラムで紹介したので、興味ある方はご参照ください。しかし、女性の場合、行き過ぎた減量は深刻な問題にも発展しかねません。
減量による女性ランナーの弊害
長距離走のパフォーマンス向上を考えた時、体重は妨げになります。それでは、痩せすぎよる害はないのか?と考えると、弊害もあります。
特に女性の場合、月経異常などを引き起こしやすく、深刻な場合には骨塩量が低下(骨の強度不足につながります)し、骨粗鬆症の危険性が増すこともあります。
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ランナーと月経異常
月経異常とは、月経周期が不安定であったり、無月経の期間が長かったりなど、適齢女性の月経に関わる諸問題を指します。
図はランナーの月経異常について調査した1991年のデータ(梶原改変)です。
特別な運動をしない一般女子学生に比べて運動する学生は、その頻度に応じて月経異常の割合が増し、学生競技ランナーの半数以上は何らかの月経異常を抱えています。 1990年代前半に比べ、学生ランナーの競技力が高まっている現在、その割合はもっと高いかもしれません。
無月経と骨塩量の低下
Drinkwater博士は、無月経ランナーと正常な月経ランナーの骨塩量を比較した結果、無月経ランナーのほうが骨塩量が少ない傾向にあることを明らかにしています。
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さらに、そのような無月経ランナーに対して、トレーニング量を減少させた結果、月経が再開し、骨塩量も増加することを明らかにしています。
この結果から、現在無月経の状態にあるトップランナーでも、少なくとも年に2~3回の月経を回復させることが重要であると提唱しています。
月経異常につながるサイン
月経が停止するトリガーはなんでしょう?
トレーニングとの関係で言えば、運動の量や質が過剰であること、それに伴う体脂肪率の低下などをその一因としてあげる研究者もいます。
そこから、自分でチェックできる評価基準として体脂肪率(15%以下)やBMI(17以下)などが挙げられています。
現在は正常な月経の方でも、基準値などを目安に体調を把握し、トレーニング量を落とすなど対処することが、まず本人の取り組める予防策になります。
速いランナー、ベテランランナーほど要注意!
トラック(春~秋)、駅伝(秋~冬)、ロードレース(冬)と1年中競技に追われるトップランナーだけでなく、市民ランナーの中にも、1年を通しほとんど休むことなく走り続けている人がいます。「どのレースを走るのか」は考えても、「いつ身体を休めるのか?」という観点で、年間計画を立てている人は少ないのが現状でしょう。
女性ランナーに限らず、休める時には、しっかり休むことが重要です。身体を壊しては、元も子もありません。
「走るのが好き」だからこそ、オフ・シーズンを作り、その期間、体重が増えたって気にせず、絞った身体や痛めた脚を回復させることが長く継続する秘訣だと思います。
(文:鍋倉賢治 イラスト:後藤徳一郎)
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